2026年5月のラグジュアリーホテル業界 — 経験者が注目する3つの変化
2026年5月時点で、ラグジュアリーホテル業界に注目すべき変化が3つあります。
業界の長期観察者として、経験者だけが気づきやすい変化を整理します。
1. マリオット「アンバサダー more」の登場
2026年から、マリオット・ボンヴォイが アンバサダーエリートのさらに上位ランク「アンバサダー more」 を導入しています。
詳細は非公表の部分も多いですが、業界で観察されている変化:
- アンバサダー(年100泊 + $23,000)の上に、さらに高い利用実績で適用される非公式な最上位待遇
- スイートアップグレードの優先度が通常アンバサダーより高くなる
- Your24 の承認率がさらに上がる傾向
- 一部ホテルでは「アンバサダー more」相当の顧客に対し、専属ホスト(Dedicated Host)を割り当てる動きがある
この変化が意味することは、アンバサダー層の人数が増えすぎて「別格感」が薄れつつあるということ。マリオットは上位層の差別化を維持するために、さらに上の層を作る必要が出てきた。
プラチナエリート層の希薄化(クレジットカード保有でプラチナ急増)が、上位ステータス全体の「インフレ」を引き起こしている構造が背景にあります。
2. アジア市場:ウェルネス特化ブランドの台頭
2025-2026年にかけて、東南アジア・日本で ウェルネス特化のラグジュアリーブランド の新規開業が加速しています。
特徴:
- 客室数を抑えて「滞在の密度」を上げる(20-50室規模が中心)
- 食事・スパ・瞑想・自然体験をパッケージ化した「没入型滞在」設計
- Aman・Six Senses の成功モデルを追う新規ブランドが台頭
- 日本では伊豆・長野・箱根に集中(国際観光客 + 国内富裕層向け)
観察として、これらのウェルネスホテルは 「ステータス会員優遇」より「個別カスタマイズ」 を差別化とする傾向が強い。マリオット・ヒルトン系の上位会員特典体系とは異なるロジックで動いています。
マリオット系の上位会員がこれらのブランドに宿泊しても「ステータス特典」はほぼ適用されません。ただし、個別の対応水準は総じて高い。
3. 日本地方リゾート:サービスの二極化
コロナ禍からの需要回復と、人手不足が交差した結果、日本の地方リゾートで サービス水準の二極化 が急速に進んでいます。
優れた地方リゾートの特徴:
- スタッフ1人あたりのゲスト数を絞る(少数精鋭モデル)
- 地域採用 + 長期雇用で「顔認識サービス」が実現できている
- 料理の地産地消を本物の形で実装(地元食材を知る料理人が在籍)
苦戦している地方リゾートの特徴:
- スタッフの入れ替わりが激しく、ゲストとの関係構築が難しい
- 業務効率化のためにタブレット・セルフチェックインを導入したが、「温かみ」が失われた
- 料理の「地元感」が演出になっている(食材の仕入れ元が実は都市部)
業界の長期観察者として、2026年以降は「地方リゾートの格差が可視化される年」 になると見ています。予算をかけて本物のサービスを作れているホテルと、コスト削減で表面的なサービスになっているホテルの差が、口コミ・評価として顕在化しやすくなる。
まとめ
- マリオット「アンバサダー more」:上位ステータス価値の相対的低下に対抗するための上位層の創出
- アジアのウェルネスホテル台頭:「没入型」「個別カスタマイズ」を差別化とする新ロジック
- 日本地方リゾートの二極化:人手不足 × 需要回復が「本物と演出」を選別している
これらの変化は、今後のホテル選択の判断軸として参考になります。
The Edit / NOX & Co.
本稿は 2026年5月時点の観察に基づいており、各社の公式発表とは異なる場合があります。